東京高等裁判所 昭和29年(う)555号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔争点〕犯人は○運送会社の木炭を窃取しようとしたとき見廻人に発見され逃走し、現場から約四五〇米はなれた地点で追いかけて来たA、B、Cに対し逮捕を免かれるため持つていた下駄で右三名の左肩、後頭部を殴打し、その結果Cに傷害を負わせた事実に対し、原審はA、Bに対する所為について準強盗未遂罪(刑法第二三八条第二三六条第一項第二四三条)を、Cに対する所為につき強盗傷人罪(刑法第二四〇条)の成立を認めた。論旨は刑法第二三条の準強盗は窃盗が財物を得ていなければならないことを前提として本件犯人は財物を得ていないのだから準強盗未遂罪も強盗傷人罪も成立しないと争つている。
〔判旨〕然しながら、刑法第二三八条には準強盗の所為に出でたときは、強盗を以て論ずとあつて、一切の取扱を一般強盗の罪と同じくする趣旨を明らかにしており、同法第二四三条に準強盗未遂の罪の成立すべき場合あることの定めある以上、財物を得なかつた場合は、同条所定の準強盗未遂の罪の成立あるものと解せざるを得ないのみならず、同法第二四〇条には、強盗人を傷し、又は死に致したときは、強盗致傷又は強盗致死の罪の成立すべきことの定めがあつて、同条の解釈上、その成立には、強盗の未遂、既遂は、これを問わないとされているところであるから、準強盗として未遂と見らるべき場合でも、その所為により人に死傷の結果を生じたときは、同条の適用あるを免れない。(昭和二四年(れ)第一二一号、同年七月九日最高裁判所第二小法廷判決、最高裁判所判例集三巻第八号一一八八頁、大審明治四三年(れ)第一二〇〇号明治四三年七月一日第一刑事部判決大審刑録第一六輯一三二二頁参照)………と判示し原判決の法律の適用を正当なりと断じている。